生活のさまざまな場面で使われているFeliCaは、端末をかざすだけで素早く、さまざまなサービスが利用できます。今回は、FeliCaの仕組みについてご案内します。
FeliCaといえば、かざすだけですばやくデータのやり取りができることが特徴です。基本的な原理としては、端末をFeliCaのリーダー、ライターにかざした時に、リーダー、ライターが発信する電磁波によって周波数13.56MHz、速度212kbpsでデータ通信が行われます。
また、データ処理を高速に行うため、効率的な相互認証とかざすだけという利用形態に適した独自の通信方式を取っており、暗号処理を含めて約0.1秒以内でデータ処理が完了できるようになっています。
FeliCaは“かざす”という動作に適した技術方式を採用しており、ノイズや距離の変動に対して安定しているManchester方式による符号化を行っています。
また、タイムスロット方式の衝突検出や回避は処理全体の高速化に貢献しています。その他、副搬送波を使用しない対称通信のため、通信速度847kbpsが可能であるなど、さまざまな技術方式が取り入れられています。
こういった優れた技術方式のおかげで、IC乗車券をかざしただけでスムーズに改札を通ることができるのですね。
FeliCaがセキュリティ面も高く評価されてい理由は、通信時はもちろん、カード発行時にもセキュリティ対策が施されていることにあります。
まず、通信時の相互認証と通信データの暗号化については、セキュリティーに関して信頼性の高い「セキュリティーアルゴリズム」を採用しています。さらに、成りすましによる通信を防ぐため、相互認証ごとに通信データの暗号鍵を新しく生成するシステムがあります。
カード発行時のセキュリティは、発行情報と鍵変更情報を暗号化した状態で発行者とカード製造会社間を安全にデータを受け渡す独自の仕組みになっています。
また、カード輸送から発行までの安全性を確保するため、カード出荷時には出荷鍵を設定しています。このように念には念を入れた体制が私たちの個人情報を守っています。
FeliCaならではの仕組みは他にもたくさんあります。個別のアクセス権を設定することが可能で、多目的のデータ管理ができる「マルチアプリケーション」も便利な機能です。
その他には、カード内の処理が終わらないうちにリーダー、ライターの電力供給範囲からICカードが離れて処理が未了となる恐れがある場合には、データの不具合を防ぐため自動的に元の状態に戻す「アンチブロークン・トランザクション」などがあります。